『幸福の資本論』は何を追わなくていいかを教えてくれる

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幸せになるのには別に誰の許可もいらない

夏の朝にキャッチボールを/ザ・ハイロウズ

 

 

話題になっている橘玲氏の新刊『幸福の資本論』を読んでいたら、そんな歌詞が頭に浮かびました。プロローグに登場する印象的な一節「いまの時代の日本に生まれたことが最大の幸福である」を常に頭のなかに置きながら読むことでこの書から受け取れることが一段階深まると思います。私はこの本は、現代日本人のための生き方の戦略書だと思いました。

 

本の中身ですが、橘玲氏は、書の冒頭で幸福の条件が、この3つに対応していると説きます。

①金融資産
②人的資本
③社会資本

金融資産は自由を生み出し、人的資本はやりがいを生み出し、社会資本は絆を生み出す。様々な事例の検証を通じて、①金融資産②人的資本③社会資本の最適ポートフォリオを論理的に設定していきます。そして、それぞれについての以下のような結論が下されています。

 

①金融資産:世界に分散投資せよ。

幸福度の調査から、世帯年収1500万円・金融資産1億円をこえると幸福感は変わらなくなる。ゆえにそのラインを目指し、あとの資産は分散投資しながら、お金に執着しすぎずに生きること。

 

②人的資本:好きなことに集中投資せよ

人生100年時代の人生戦略はいかに人的資本を長く維持するかにかかっているため、「好きを仕事にする」ことで生涯現役で働き続けること。

 

③社会資本:小さな愛情空間と大きな貨幣空間に分散投資せよ

大切なひととのごく小さな愛情空間を核として、貨幣空間の弱いつながりで社会資本を構成すること。つまり「強いつながり」を恋人や家族にミニマル化して、友情を含めそれ以外の関係はすべて貨幣空間に置き換えること。

 

①②については、データや研究を見たことがあったし、『LIFE SHIFT』などでも同様の議論がされていました。このなかで私が画期的だと思ったのは「③社会資本」についてです。「友達は多ければ多いほどいい」、「家族・親戚・会社の同僚もなるべくたくさんいたほうがいい」。なんとなくそう思われている常識対して、「人間関係はストレスだし、雁字がらめになるので最低限にしてあとはお金で置き換えましょう」という提案をしています。

 

***

日本人は幸福になろうと「つながり」を求めますが、その結果、関係のなかに埋め込まれ身動きがとれなくなってしまいます。相次ぐ過労死や過労自殺を見てもわかるように、これはきわめて危険な環境でもあります。会社は嫌いだけれど、会社なしでは生きていけないというのが、日本人の悲しい性なのです。

幸福感を毀損するいちばんの要因は、こうしたひと(=サイコパス)たちと関係をもたざるを得なくなることです。それが顧客であればまだ対処のしようもあるでしょうが、上司であれば悲劇ですし、同僚や部下であっても攻撃的コミュニケーションしかできない人物は職場という(逃げ場のない)閉鎖空間では強いストレスになります。

(『幸福の資本論』本文より引用)

***

 

だからこそ「困ったひと」と付き合わない選択の自由を持つために、人間関係はお金を介することでフリーエージェントとして生きる戦略が有効だ、そういうロジックです。

この書(というか橘玲氏の考え方)のなかで、実はもっとも大事だなと思ったのは、「大切なものを選びぬく意志」です。

・金融資産については最低限の資産は「残」(分散投資)しておいて、あとは自由のために使う。
・人的資本についてはあれこれ手を出すよりも「好きに絞って」つきつめる。
・社会資本については「愛情空間だけ」を大切に守り抜くこと。

この本を上辺で読んでしまうと「お金はなるべくたくさん稼ごう」、「仕事はやりがいあるものを」、「人付き合いはなるべくしないでおこう」ということを結論にしてしまいがちです。冒頭で述べたように私はこの本は幸福になるための「戦略」書であると思いました。戦略とは「戦いを略くこと」です。

だからむしろ、

・「無駄に稼ぎを追わないこと」
・「やりたくないことはやらないこと」
・「愛する人は選ぶこと(=たくさん愛しすぎないこと)」

という「やらなくていいことについての基準の提案」だという受け取り方もできるはずです。

そう解釈した時、いままで肩の荷に感じていたものの多くがふっと消え去り、足取りが軽くなったような気持ちになる気がしませんか。幸せになるためには、実はそんなにたくさんのことは必要ないんだと。自由になら一秒でなれるんだと。私はそんなことを思いました。

 

そしてこの考えをベースにした具体的な働き方・生き方の例として、

・堀江貴文 著『多動力

・高城剛 著『多動日記

がある気がしています。ぜひあわせて読んでみてください。

 

 

おしまい

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