Forkyに見る新時代のメディア・コンテンツ論

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モテたい男のデートコースマガジン・Forkyというウェブメディアはご存知でしょうか。

2017年4月末にローンチされ、すでにかなりのPVを稼いでいるようで、ちなみにこのメディアのなかに私自身も記事を書いています。Forkyのコンセプトは以下のようなものです。

総フォロワー100万人以上のインフルエンサーが執筆・監修する男性向けデートコースメディア。『Forky』とは、“男性の魅力(デートのエスコート力)を上げて大好きな彼女を作れるようになる”をコンセプトにインフルエンサー及び恋愛に精通する方たちの提案するデートコースを紹介するサービスです。

■サービス特徴
(1)1軒目・2軒目・3軒目と点ではなく線でのデートコースを紹介
(2)総フォロワー100万人以上のインフルエンサーが執筆・監修
(3)各界の著名人による男性の魅力が上がるためのコンテンツの寄稿・対談など

Forky(フォーキー)
公式WEBサイト公式Facebook公式Twitter公式Instagram

(プレスリリースより引用)

特筆すべきポイントはライター陣がプロのライターではなく、インフルエンサーであるという点でしょう。ホリエモン・MB氏・はあちゅう・暇な女子大生・萩原清澄氏など界隈の錚々たるメンバーが顔を連ねています。これは2016年末話題になったwelq等のキュレーションメディアとは一線を画す特徴だと言えます。物書きを生業にするライターではなく、多くのフォロワーを有するインフルエンサーを記者に利用する。これの意味することは何でしょうか。いくつかのブログ記事を通して考察してみます。

 

「メディア>コンテンツ」時代の終わり

以下に引用するのはキングコング西野氏が読売テレビの収録に対してブチ切れて帰ったと言われるエピソードについての本人による記述です。

今回の読売テレビさんのロケのように、時々問題になっているのが、その瞬間に垣間見える「(タレントを)出してやっている」「(店を)取材してやっている」というテレビ側の俺様姿勢。一昔前は、放送局や新聞社の力を借りないとマス(大衆)に向けて、エンタメや情報を届けることができなかったのですが、今は、個人がマスメディア化し、お客さんとダイレクトに繋がれる時代になり、ニュースを自分で発信できるようになったので、テレビと個人がウィンウィンの関係でないと、テレビに出演する理由がなくなりました。テレビが「悪戯に煽って、感情を逆撫でし、不用意な発言を誘発させて、その部分だけを刈り取って電波に流す」という下品な技を決め込んでくるのなら、ハナからテレビを排除できる時代になったわけです。史上最もSNS親和性の高い大統領、ドナルド・トランプの言葉を借りるなら、「マスコミを迂回して声明を表すことができる。そうなれば自分が発言にこめた地味がキープでき、マスコミがこれを歪曲するのを我慢せずにすむ」です。スゲー簡単に言うと、「マスコミを経由する理由が昔ほど無くなった」というところ。今回、読売テレビさんは、時代がこのフェーズに移ったことを踏まえていなかったのでしょう。

【キンコン西野】収録中にブチギレて帰った後の整理より

西野氏はマスコミという言い方をしていますが、彼の言うマスコミとはすなわちマスメディアのことです。彼のなかでは明確にメディアとタレントは独立・対等の関係であることが明言されています。「そんなの当たり前じゃないの」と思われるかもしれませんが、マスメディア(特にテレビ)とタレント(事務所)は持ちつ持たれつの関係を続けてきました。ミュージックステーションには必ずジャニーズ枠があるし、レコード大賞の受賞者は政治的な理由で決まっていたりするわけです。それはタレント側からすると、テレビに出ること、CMに出演することが「おいしかった」からなわけで、そしてテレビ側からすると、人気タレントを擁する事務所に貸しを作っておくことがやはり「おいしかった」わけです。しかし西野氏は個人がマスメディア化した結果この関係は終焉してしまったと述べています。

実はこの話をまったく別の文脈で述べている記事があります。メディアコンサルタントの境治氏のコラムです。

 

誤解を恐れずに言えば、これまでの業界はメディアの価値を異常に高めて守ってやってきたんです。そこを変えないといけない。いやメディアの価値が高いのはいいことですけど、コンテンツの価値を高めることでメディアの価値を高める、そういう哲学になってなかった。メディアの価値を高めるために、コンテンツを安く使っていただけなんです。テレビ局や大手代理店の給料が高くて制作会社の給料が安いのは、その現れです。逆だっていいはずなのに、なぜか制作会社は「おれたちプロダクションですからね」と最初から決めつけちゃっている。大事なことを決めるのはテレビ局や代理店の人たちだと思い込んじゃってる。テレビ局や広告代理店の中でも、制作の人たちは一時期ちやほやされても、結局はあまり偉くならない。そりゃあそうですよ、だって業界構造が、コンテンツよりメディアを重視しているのだから。

去年、これまでのパラダイムが終わったとしたら、「メディア>コンテンツ」の構図も終わったのだと思うのです。「コンテンツ>メディア」になったはずです。業界中の会社が労働基準局にビクビクしながら残業を制限し、足りない人手をどんどん補っているのは、大きくいうとコンテンツが主の時代になったんだと思います。関係ないようで、密に関係していることだと思う。

「コンテンツ>メディア」という把握は少し違うかもしれません。「コンテンツ=メディア」なのかも。対等になったという意味ではなく、コンテンツそのものがメディアになった。だからコンテンツそのものの価値がぐんと高まる、ということですが。それは裏を返すと、メディアだけでは価値を持てなくなってきた、ということでもある。

時代は結局、変わるべき方向に向かっていく。十数年かけての方向転換の「転換点」が、今なのだと思います。

Adver Times 境治氏のコラムより

境氏は広告業界の方だそうですが言っていることはキングコング西野さんと同じです。メディアとコンテンツ(=タレント)の関係が反転したというのです。もっと言うとメディアは存在意義を失い、コンテンツそのものがメディアの地位にとって変わったといっても過言ではありません。だって、ローラさんのインスタグラムのフォロワーだけで450万人いるわけですから、これだけで十分マスメディアです。女性誌でいちばん部数を稼いでいる『VERY』でも30万部なんですから、トップタレントはすでにマスメディアよりパワーがあるといっていいのかもしれません。

企業より個人の時代

私はコンサルティングの仕事上、企業メディアの運営・改善にも関わることがあるのですが、たいていメディア運営の経験のない素人の担当者はYahoo JAPANのような壮大なポータルサイトを作ろうとします。化粧品メーカーなら化粧品や美容にかかわる情報を一手に集めることであらゆる層を集客しようという魂胆です。その発想は十分理解できるのですが、まあ、時代遅れです。何十億の予算がないかぎりうまくいかないでしょう。

クロネコ屋@アフィリエイターさんは、この点について独自の分析を述べられています。

DeNAのキュレーションメディアの問題によって、少なからず読み手であるユーザーも『誰が書いているのか』を意識するようになってきていると思います。クラウドワークスで集められた1円ライターが仕事で書いているのか、それとも個人が趣味、あるいは善意で書いているのか。同じような内容のコンテンツでも、前者と後者では読み手の印象も大きく異なりますよね。また、書き手としても匿名性・客観性を意識したコンテンツは、どうしてもキュレーションサイトや大手企業のメディアに押しつぶされてしまいます。企業の運営するメディアは、資金が豊富ですから記事数では勝てません。そうなると、必然的に差別化をするために『独自の視点』『自分なりの解釈・意見』を書いていく必要が出てきます。私はここらへんを意識してコンテンツを作っていたのですが、最近はそれすらもリライトされたり、差別化の要素として弱くなってきてるな…と感じています。もちろん専門知識をぶっ込んで、リライトを難しくする事は出来るのですが、例えば『年収1000万の手取りはいくら?』みたいな単純な計算で出せるコンテンツはすぐ真似されます。おまけに、オリジナル記事よりコンテンツを充実させて上位を取られます。こういった強者の戦略にどう立ち向かえば良いのか…と考えた時に、個人を前に出してブランド化して読み手との距離を縮める戦略が一番無難ではないかと思ったのです。

これからのSEOはブランド化された個人ブロガーが強いと思う理由』より

Webというフラットな世界で個人が戦っていくときに資金力がないのであれば「ブランド化された個人」としてサイトをつくるべきだというメッセージです。私はさらに、企業でもそうすべきであるという点をさらに付け加えたいと思います。一消費者として今時新しいポータルサイトなんていりません。Google先生とYAHOOとFacebookとtwitterがあれば情報は事足ります。それにプラスして欲しているのは好きなブランドor個人に関する情報くらいなもので、私自身もクソ情報を垂れ流しているまとめサイトなどは即ブロックします。

少なくともこのブログを読んでいる方は自身のtwitterアカウントやFacebookアカウントを持っている方が多いと思うのでその運用に関してもひとつの方針を持つのがこれからの時代、有益ではないかと思うのです。

クロネコ屋@アフィリエイターさんのこのフレーズは私の心に響きました。

『Twitterで収益化!とまでは行かずとも、自分自身の魅力を伝えるチャネルは今後のために持っておいたほうが良いですよ』

今後、社会や世界がどうなるかはわからないですが、確実に個人の価値や魅力・芸に対して対価が支払われる時代にシフトしていきます(それがForkyなんですが)。会社員3000人を抱えて作ったコンテンツが、Youtuber1人がつくったコンテンツに負けてしまう世の中なのです。だったら個人の芸と換金技術を高めるしかないでしょう。

私がもろもろのサロンを運営しているのもその変化に備えるコミュニティが少なすぎると感じているからです。というわけで「Forkyに見る新しい時代のメディア・コンテンツ論」でした。

おしまい

※ちなみに5月の副業ラボのツイキャスはこのあたりの話をしようと思います。

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