迷ったときの、ピーターティールという指針

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ピーター・ティールというアメリカの投資家をご存知だろうか。

1998年にPayPalを共同創業して会長兼CEOに就任し、2002年に15億ドルでeBayに売却。

その後、facebook初の外部投資家となり、航空宇宙、人工知能、先進コンピュータ、エネルギー、健康、インターネットといった分野で革新的なテクノロジーを持つスタートアップに投資する投資家として知られる。

その一方で、2016年アメリカ大統領戦で大方の予想に反し、トランプ支持を表明し、トランプ大統領のテクノロジーアドバイザーを努めたりする、政治とテクノロジーの間を行き来する男だ。

シリコンバレーの大物たちとトランプ大統領の溝を埋め、建設的な道筋をつけるために、
ティールは、

・ティム・クック(アップルCEO)
・ジェフ・ベゾス(アマゾンCEO)
・ラリー・ペイジ(アルフェベットCEO)
・シェリル・サンドバーグ(フェイスブックCOO)
・サティア・ナデラ(マイクロソフトCEO)
・イーロン・マスク(テスラCEO)
・アレックス・カープ(パランティアCEO)

とトランプ大統領の会合を設定し、成功を収めるほどの調整手腕も持つ。

ティールの大局を見る眼ほど思考をインスパイアするものはない。私はそう考えている。

この書『ピーター・ティール 世界を手にした反逆の起業家』からも、存分に思考の材料をもらった。

 

 

個人的に指針になった箇所を以下に紹介したい。

 

 

1)競争する負け犬になるな

 

競争からはさっさと身を引き、他社との競合を避けよう。創業者が独占をめざすべきとは、競合他社と明確に差別化でき、競争に陥らない唯一無二の企業をつくるということ だ。資本主義と競争は同義語だと考えられているが、ティールにとって両者はむしろ水と油の関係にある。 (中略)まわりの人間を倒すことに夢中になってしまうと、もっと価値があるものを求める長期的な視野が失われてしまう。ティールは若い頃から競争を熟知していた。競争からは幸福感も充実感も得られなかった。彼は固い友情と信頼関係を生かしてビジネスを展開した。また起業と投資に際しては、可能なかぎり競争を避け、他に例を見ないビジネスモデ ルに基づいて行動した。

ピーター・ティールの著書『ゼロ・トゥ・ワン』にもあるとおり、競争からは新しいものは生まれない。むしろ、「他の大勢が真実だとは思っていない真実」を発見したところから独占の芽が生まれる。
だからこそ競争からスタートしてはダメなのだ。目と耳と心を澄ませ、他人には見えないチャンスにまず気づいてから起業しても遅くはない。

競争しなきゃいけないということは、誰か(大勢)に気づかれている市場であるということだ。それがわかった時点で市場をズラしながら独占できる市場を常に探るのが、ティール流の人生戦略といえるだろう。

人生で何をしたいかと問われて「起業家になりたい」と答えるような人がいるが、それはビジョンとは呼べない。投資家としてのティールは、どんな企業も政府もこれまで解決しようと思わなかった重要課題にとりくんでいる企業と経営者を探して投資するわけで、まずその課題を見つけるところが最重要ポイントなのだ。

 

2)神経を研ぎ澄ませよ

 

 

では、そのオリジナルな課題をどうやって見つければいいのかということなのだが、ピーター・ティールはこう言っている。

「人は、完全に模倣から逃れることはできないけれど、細やかな神経があれば、それだけでその他大勢の人間より大きく一歩リードできる」

ティールのスタンフォード大学時代の恩師ルネ・ジラールは「模倣と競争」を研究テーマとしていた哲学者だが、このテーマがそのまま彼の投資・起業の哲学となっている。
誰とも争わない独占市場を築くのが最も賢いビジネスであり、競争は負け組の始まりだと言うティールの思想は、アンチ「模倣と競争」とも言い換えることができる。

そして、「模倣と競争」から逃れるためには、細やかな神経が必要であるとティールは言う。
いかに細かな差異に気づけるかがポイントだ。

実際、コンテンツ・ユーザーインターフェース・デザインetc、ビジネスのフィールドはどんどん感性の方面にシフトしている。

機械やテクノロジーが力仕事やルーティン仕事を代替してくれるようになり、差別化するポイントが「感じる」ことと「意義付ける」ことくらいしかなくなっているのだ。

そのために必要なのは、競争という予め定められたルールの上をひた走る力ではなく、微差を感じ取り抜け道を見つけ出すスキルだが、それを養うには、なるべく広い視野と、経験と、思考のフレームが必要となる。

そして、残念ながら、それらは一朝一夕に身につくものではない。

ティール自身も相当な読書家で、テクノロジー・政治・経済に対する確かな知見のバックにはその読書量がある。
以下は、この本に紹介されているピーター・ティールの愛読書だ。

世の初めから隠されていること』(ルネ・ジラール)

ニュー・アトランティス』フランシス・ベーコン

アメリカの挑戦』(ジャン=ジャック・セルバン=シュルベール)

『大いなる幻滅ー軍事力と国家優位性の関係の研究』(ノーマン・エンジェル)ー未訳

ダイヤモンド・エイジ』(ニール・スティーブンスン)

 

3)隠されているドアから入れ

ティールは逆張り屋を自認しているばかりでなく、実際そのように行動している。ドットコム・バブルがはじけた直後の 2004年という最悪のタイミングで、エンドユーザーを対象にしたBtoCのインターネット企業フェイスブックに投資 したのがいい例だ。パランティアの創業時も、当初は実質的に自己資金だけではじめなければならなかった。他のベン チャーキャピタルは、B toBでしかも政府機関と取引をしようというインターネット企業に将来性があるとは考えなかっ たからだ。ティールは2度にわたってベンチャーキャピタルの常識をくつがえしたことになる。現在フェイスブックの企業 価値は数千億ドルで、世界トップ10にランクイン。パランティアの企業価値は200億ドルに達しており、シリコンバレー の非上場企業のトップ3に食い込んでいる。

法外な利益を得ようと思うのなら、トレンドとは逆に投資し、適切なタイミングを見計らって売り抜けることだ。そのためには、大勢が退去して押し寄せている門には近づかないことだ。誰も近寄らないようなひっそりとした入り口にこそ、大きなリターンのヒントが有る。
隠されているドア、脇にあって誰も入ろうとしないドアから入れとティールは言う。

マタイによる福音書にもこんな一節がある。

「狭き門より入れ。滅びにいたる門は大きくその道は広い。そこから入っていくものが多いが、命にいたる門は狭くその道は細い。そしてそれを見出すものは少ない」

超簡単に言えば、「キラキラしたものを追っかけると破滅しますよ」ということだ。
就活でも転職でもそうだが、人気業界・人気業種に行くと不毛な競争に消耗し、本来やるべきことに力を割けず脱落していく者が多い。先に上げた「模倣と競争」のように多くの人はマネをして、多くの人が群がる場所に行き競争を繰り返して消耗する。

光に集まる虫の大群。満員電車に揺られて都心に群がるサラリーマン。これは生き物の性なのかもしれない。

だからこそ理性を働かせて、あえて逆張りすれば大きな利益を得られるのだ。

 

●まとめ

 

以上がこの本を読んで個人的に刺激を受けたことだ。
とくに「 2)神経を研ぎ澄ませよ」はこれからの生き方の指針として基礎となる考え方だと感じた。
何も考えずみんなと同じことをやっていては、自身の価値がどんどんどんどん下がっていく、そういう時代になっていくのだ。

 

 

 

 

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